特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の行方!?
「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度」については、以前もブログで記載させていただいておりました。
今年の3月決算の法人から、この規定の適用が始まります。
再度、この制度の説明をさせていただきます。
特殊支配同族会社とは、
(1)法人の株の90%以上が社長及び親族が保有している場合
(2)常務に従事する役員の過半数が社長および親族の場合
の両方に該当する会社です。
とすると、どちらかが該当しないようにすれば良い!という事で、巷(ちまた)では、
(1)資本金の11%以上を第三者に譲渡し、上記(1)の該当を外す。
(2)同族以外の常勤役員を過半数以上にし、上記(2)の該当を外す。という対策を講じられている会社さんが多いと聞きます。
しかし、上記の(1)については、施行令72条4項の(特殊支配同族会社の判定等)で、「個人又は法人との間で当該個人又は法人の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者がある場合には、当該者が有する議決権は当該個人又は法人が有するものとみなし、かつ、当該個人又は法人(当該議決権に係る会社の株主等であるものを除く。)は当該議決権に係る会社の株主等であるものとみなす。」とあります。
つまり、株式の譲渡をする根拠のない場合は、その譲渡はなかったものとして判定しますよ。という事です。
また、第三者に株式を持ってもらうリスクもあります。
株主ですから、株主としての権利(決算書の開示など)もありますし、譲渡自より業績が向上し、株価が上がった場合は、それなりの株価で買い取る必要が生じるなど、です。
また、上記の(2)については、取締役としての権限と義務が生じます。
権利としては、その取締役が第三者と契約を交わした場合、有効になります。
義務としては、勧善注意義務でしょう。会社が不祥事を起こした場合など、保障義務が生じます。
上記については、後日の説明とします。
今回は、では、いくらの増税になるのか!について記載します。
社長さんの個人の所得税計算での、「給与所得控除額(サラリーマンの概算経費
とお考え下さい。)」が会社の税金計算上、損金にならない(=課税金額に加算)
という計算です。
具体例で説明します。
役員年間給与額が、1200万だとします。
この1200万円に対する「給与所得控除額」は230万円になります。
(1200万円×5%+170万円=230万円)
この230万円が課税所得金額に加算されます。
つまり、概算ですが、「利益+給与所得控除額=課税所得金額」になります。
この例でゆくと、230万円分の課税所得金額が増えることになります。
では、実際の納税額はどのようになるのでしょうか?
実行税率が30%だとすると、230万円円×30%=69万円
(税率は超過累進税率なので、業績が上がるにつれ、上がってゆきます。
中小企業の場合は、軽減税率が適用されるので、課税所得が400万円以下の場合は、30%くらいなのです。)
つまり、1200万円の役員給与に対して、69万円の税金が余計にかかるという事です。
割合で考えると、「69/1200=約5.7%」。つまり役員給与の約5.7%分、税金が余計に係るという事です。
これを、重いと見るか、軽いと見るか???
株式の移転や同族以外の取締役の就任をする前に、考えてみましょう。
2007年2月6日