働き方によって社会保険料は大きく減ります!
こんにちは、社労士の荒木です。
先日こんなお手伝いをしました。
A社は60歳を超えた従業員Bさんを嘱託として継続雇用していました。
Bさんが来月に63歳になり、年金が基礎年金も含めて満額受給できるようにな
るので、どのような賃金にすれば良いかという相談でした。
60歳を過ぎてからは仕事内容はそれほど変わらずに、賃金体系だけを8割程度
に引き下げていたのです。
具体的には
59歳 440,000円 → 60歳~ 350,000円
勤務はフルタイムです。もちろん社会保険にも加入しています。
現在の社会保険料は、会社負担分と本人負担分とあわせて月額約10万円です。
実はBさんの場合には、嘱託となってからの報酬が高すぎて、雇用保険から支給
される「高年齢雇用継続給付」も、60歳から支給される厚生年金も支給されて
いなかったのです。
60歳になってからは働き方が変わらずに、収入は大きく下がったままでした。
A会社には最近関与することになったのですが、このままではA社もBさんも、
共に「もったいない!」として、新たな働き方と賃金を提案しました。
本来Bさんの年齢ですと、雇用継続の義務は63歳までですので、嘱託としても
来月まで雇用すれば良いことになります。
A社の場合は、Bさんのキャリアをまだ必要とするので、負担を減らしながら、
もう数年頑張って欲しいと願っています。
そこで問題の整理です。
Bさんの場合には60歳になった時点で2つの問題がありました。
○雇用継続給付が貰えていない
○在職老齢年金が貰えていない
二つの問題共に、賃金額が高すぎることによるものでした。
でも単純に賃金額を引き下げては問題となりますね。
そこで2つの提案をしたのです。
一つは勤務日数を変えずに、一日の労働時間を減らすことで賃金を下げること。
具体的には269,000円としました。
支給額は定年前と比べて17万円下がりますが、年金と雇用継続給付を含めた手
取り額は7万円しか下がりません。
先に言った雇用継続給付と在職老齢年金が貰えて、更に、社会保険料の負担が減
るからです。
最初からこうしておけばかなりメリットがあった筈で、とても魅力的な案でした。
でも会社と本人が選択したのはもう一つの提案でした。
それは勤務日数を会社の所定労働日数の半分にする提案です。
当然賃金額は大幅に下がって、約半分の180,000円としました。
でも年金と雇用継続給付を含めた手取額は定年前と比べて大幅に増えたのです。
その差年間にして約70万円!
なぜなら社会保険に加入しないからです。
勤務日数を半分にすると、雇用保険は加入しますが、社会保険には加入しなくて
も良くなります。
そのため、
○年金を満額貰うことが出来る
○社会保険料の負担がかからない(健康保険のみ本人負担が発生します)
という二つのメリットがあるのです。
社会保険料が掛からないということは、会社負担と本人負担と合わせて月10万
円あった負担が無くなるという事です。
もちろん賃金額が下がるので、雇用保険の負担額も下がります。
A社は雇用を延長しながら、Bさんのキャリアを若手へ引き継ぐことにしました。
人件費の負担を引き下げた分は、若手の処遇改善にも役立てることにしました。
どうでしょう。
人件費負担が厳しいといっても、こういった方法で社会保険料負担を軽減し、コ
スト削減しながら体質強化に結びつけることが出来ます。
工夫次第で、経費削減する方法は沢山あります。
是非ご検討してみて下さい。
(試算は個人の状況によって変わりますのでご了承願います)
2009年12月14日