変形?労働時間制って!?
こんにちは。社労士の荒木です。
昨年は後半ずっと労働時間に関する実務について解説してきました。
何故かと言えば、リーマンショック後に経済環境が一変し、労務に関するご相談が一気に増えたことが背景にあります。
他にも関与先の方とお話をしてきて感じるのは、この危機を乗り越えるためにはマネジメントのレベルを上げていって体質を強化できるかどうかが非常に大事なことなんだと気づかされたこともあるんです。
トラブルが起きないようにするためには、問題を避けていくだけでは駄目なんですね。
そこで少しでもこのメルマガに触れながら、今までの労務管理体制を見直していくきっかけ作りになってもらえたら嬉しいな。
そんな想いではじめたこの労務時間管理のシリーズです。
今年になって取り組む最初の課題は「変形労働時間制」。
労務管理上、特に残業対策上で非常に有効ということで、多くの関与先にお勧めしている制度です。
上手に運用すれば、労働時間の短縮と繁忙期の対策に非常に有効ですので、是非活用を考えていただきたいと思います。
業務の繁閑がそれほど無い様な場合であっても、残業対策上は有効な手段ともなりえますので、どんな企業であっても導入できないかどうか検討はして頂きたい制度です。
ではそもそも変形労働時間制とは何でしょう?
労働基準法32条では、労働時間は1日8時間、1週間で40時間を超えて労働させてはならないとされてます。
毎日の仕事が8時間分きっかりあれば良いのですが、当然そんなことは難しいもので、忙しい日もあれば暇な日もあります。
暇な日は早く帰って、急がしい日は長く働いて、平均して週40時間になれば、合理的だと皆考えたくなるものです。
そのほうが結果的に短時間労働となり、会社も従業員もともにメリットを多く受け取れます。
そこで労働基準法には、一定の要件を決めて、一定の期間を平均した労働時間が40時間以内なら、特定の日に8時間あるいは週に40時間を超えても良しとする平均的労働時間制を認められています。
それがいわゆる変形労働時間制です。(随分と簡単な説明になってます)
もう一度詳しく説明すると、
ある特定の日において、1日8時間、またはある特定の週において1週40時間
を超えることが有っても、他の日または他の週の労働時間を短縮することによっ
て、ある一定期間を平均してみれば、1日8時間1週40時間を超えないような
勤務体制を認めるということです。
定型的な労働制を変形させているので、変形労働時間制と呼びます。
この変形労働時間制には3つのパターンが認められています。
(1)一ヵ月
(2)一年
(3)一週間
それぞれに一定の条件があり、それに基づいて導入が可能になります。
それぞれの制度についての詳しい解説を今後進めていきますが、特に第3次産業を主体に、取り組める業種が多いと思います。
またマニアックな解説が多くなるかもしれませんが、今後のこのコラムをお楽しみにしてくださいね。
2011年1月17日