年俸制における最大の勘違いー年俸制について考える2-

年俸制における事業主の最大のメリットとしては、

「残業代などの時間外手当を支払う必要が無い!」ことではないでしょうか。

しかし、これは、労働基準法からみた場合、年俸制における最大の勘違いなのです。

会社からの指揮命令で行動する労働者は、1日8時間、週40時間の法定労働時間の縛りがあります。

これにより、残業代の精算という問題が発生するわけですから、経営者側から考えると、まとめて賃金総額をあらかじめ決めておく年俸制を採用することにより、これらの手当を含めたくなるのも一理あります。

しかし、ここは労働基準法がにらみをきかせていて、年俸制であっても、時間外労働をしたときは時間外手当を追加で支払うことが決められているのです。

早めに手を打たないと後からまとめてドバッと支払うことになりかねません。

さて対処法です。

1)ここは思い切って年俸制をやめて、ニッポンの成熟した労働文化でもある月給制にしてしまいましょう。

なぜなら別に労働条件が変わらず、名前が変わるだけなのですから。

おまけに、これにより賞与をあらかじめ保障する必要もなく、会社業績や、労働者成績により決定することもできるのですから、経営上のメリットが一つ増えたことになります。

2)時間外手当はきちんと払いましょう。

ここは紛れもない事実(実際のタイムカードなどによる労働時間の集計結果)により逃れられない部分なのですから。最近、労基署の調査で、このところをチクリと指摘してくる傾向が多くなっています。

しかし、この問題については、労働者のモチベーションを維持する上でも重要度が高く、事業主にとっても頭の痛いところでありますので、追々このブログの中で解決策を記していこうかと思っております。

ただし、具体的な心配がある方はすぐにでもご相談ください。

賃金構成の見直しや、所定労働時間を業務の繁閑により変形させる、などの方法について一緒に考えていきましょう。

追記

現在の多様化した会社形態を考えると、上記に記述しましたが、労働基準法は形骸化している気がします。

少し前の、日本経済新聞に、労働基準監督署が、六本木ヒルズのIT会社に入った際の記事が掲載されていました。

IT業界で働く、上昇志向旺盛な方は、別に残業代など不要で、やりがいや、ストックオプションによる将来の果実・成果・スキルアップを期待しているのであって、そもそも、労働基準法がすべての会社の従業員さんのニーズに合致しているものではなくなっている。

といった内容だったと記憶しています。

私見になってしまいますが、そもそも、労働”契約”ですから、お互いが良いのであれば、敢えて、法で縛る必要もないと思うのですが、労働基準法の立法の経緯などを考えると、現在は、形骸化しつつある気がしますね。

2006年8月2日

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