資金調達 私募債
会社が資金を調達する手段には基本的に2種類しかありません。
ひとつは「資本」としてお金を調達する方法、もうひとつは「借入金」として銀行や個人から調達する方法です。
個人が会社にお金を貸すとなると、中小企業の場合には経営者が個人的に運転資金の補填のために貸付けるようなケースがほとんどですが、大企業では「社債」なるものも存在しています。
社債なんて大企業だけのものというイメージが強いですが、ところが最近は中小企業でもこの社債を発行しやすくなりました。
「少人数私募債」と呼ばれるものがそれです。
通常、社債を発行する場合には有価証券取引法と商法にのっとり、各種報告書を作成した上で、諸官庁に承認を得た上で保証会社に保証料を支払い、ようやく債権を発行できるという気が遠くなるような段取りを経なければならず、中小企業にはまず無理!という感じなのですが、少人数私募債にはそのような複雑な段取りが必要ありません。
簡単に説明すると、まず募集人数(勧誘の段階も含めて)50人未満、募集金額が1億円未満であること、第3者への譲渡を予定していないこと等の条件さえ満たしていれば発行が可能です。
さらに銀行からの借入金に比べると、「少人数私募債」は、
○元金の返済は償還時一括でよい
○利息は半年や1年に1度の後払いでよい
○物的担保不要なので担保設定登記のための登記費用も不要
○保証会社も不要なので当然保証料も不要
○貸す側にとっても銀行に預けるよりも収益性は高いし、受取る利息に対する課税は20% の源泉所得税等のみでよい
など、良いことづくめです。
しかし反面、募集対象者は社長をはじめ社内の人間及び関係者や事業内容に賛同してくれる友人・知人等ごく親しい人たちであることが殆どであると思われるので、もしきちんと利払いや償還ができなければ多くの支援者や友人を一度に失う恐れもあります。
1人の人に3000万円貸して下さいといっても殆どの人が貸さない、若しくは貸せないというのが実情かと思いますが、30人に100万円ずつなら何とかなるのでは?ということですよね。
でも30人もの協力者を得るには事業のビジョンや事業計画が納得性が高くないといけません。どんな手段で資金を得るにせよ、やはり事業計画は重要ですね!
中小企業診断士 川口貴之
2006年8月29日