数字は正確か!?
プレジデント10月1日号の特集「数字王選手権」。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」の著者、山田真哉氏のコラムからご紹介します。
「事業計画に会計数字は使うな」というおハナシです。
会社は人の集団です。
その人の集団が同じく人の集団である企業や人個人に対してビジネスを行うのです。
そこには、数字やデータには表れない部分がかなりあります。
数字やデータだけで経営判断すると、その数字に表れない部分がリスクとなって襲ってきます。
税理士である私も実感してる部分です。
前回は、数字、とりわけ数字に感情を持たせる「フレーミング技法」について触れました。
今回は、「感情のない数字やデータ」について記載します。
感情のない数字の代表格は会計数字であると書かれています。
会計数字の特徴としては、「信頼性」「比較可能性」「効率性の追求」の3つの言葉で言い現せると。
信頼性とは、会計数字は会計ルールにのっとって記述されるものであるから、誰が記述しても同じ表現になるから故の信頼性です。
比較可能性とは、会計ルールが同じであれば異国の企業同士でも比較が可能ですし、同じ企業でも過去と現在の比較が可能である点です。
効率性の追求とは、会計数字の限界でもあるのですが、利益率をあげるために単一の業務に特化すると数字の上では利益率は上がるでしょうが、その単一業務のニーズがなくなってしまた場合は、一気に業績が落ちてしまうリスクがあるが、そのリスクは会計数字には表れません。
何の書籍に記載されていたか忘れてしまいましたが、
「ズバ抜けた事業計画は机の上や会議室で生まれるものではない。
とっさに思いついて、喫茶店の紙ナフキンになぐり書きした案が最もズバ抜けて素晴らしい事業プランである事が多い。」
この喫茶店で生まれた事業計画は会計数字から成り立っているものではないと思います。
むしろ、現在の消費者の動向やニーズ、業界内や競合他社の動き、社会的な動向などからひらめく事が多いと思います。
会計データの限界は必ずあります。
いわば、「数字やデータの面」と「数字やデータに現れない面」の両面を考慮して企業判断を行う必要がありますね。
米牛輸入停止の煽りを受けていた吉野家が豚丼を主力メニューにしていました。
2005年豚丼を10円値上げしたのですが、その理由は“製造原価の上昇”ですが、お客様に対しては「値上げするほどおいしくなった」からとアピールし、その結果、値上げしたにもかかわらず客数は増加したというエピソードがあります。
会計的な理由を、おいしさのアップという非会計的な表現に置き換えて伝える手法はとても鮮やかで、吉野家の安部社長の数字のセンスは素晴らしいですね。
2007年9月13日