人事考課のコンプライアンス(法令遵守)への影響
個人情報保護法が施行されてから早いもので1年が経過しました。
正解がない(?)中でとまどいながらも、各々少しずつ対応してきたのではないかと思います。
今の情報化社会では、コンプライアンス(法令遵守)の徹底を意識しないと顧客や利害関係者に実害が及ぶのは勿論のこと、ネットでの書き込み等による風評によってもその企業の信用は失墜してしまいます。
しかし万が一その様な事態に陥ってしまった時にどの様な対応をその企業がとるかということも、世の中は良く見ています。
そのトラブルを何とか揉消そう、隠蔽しようという企業があったことはここ数年立て続けに取り上げられていますが、本質的な問題はその様な隠蔽工作を組織ぐるみで行っていること、更に言えば企業のトップが直接的にしろ間接的にしろその様な指示をしていたことにあると思います。
なぜその様な体質になってしまうのでしょうか?
私は理由の一つに人事評価の性向があると思っています。
「いかにマイナスされないか」ということで将来が決まってくるような人事評価では、企業人である前に一人の人間としてどうあるべきかという行動基準に歪みが出ても仕方がないと思います。
せっかく新しい人事考課制度を取り入れても、上司に如何に気に入られるかとか、たまたま上司と馬があったなど、本来の能力評価とは全く関係のないところで評定が行われ、後はいかにミスをしないかというマイナス考課をさけることに皆終始してしまったなどという笑えない話しも耳にしました。
その様な土壌で育ってきた方々がそのままの感覚で企業のトップになってしまった企業では、隠蔽体質が蔓延してしまうのも無理のないような気がします。
悪しき慣習をブレイクできるような強い信念と明確な理念を持った起業家がどんどん輩出され、皆が幸せに働ける社会を作ってくれることを祈っています。
中小企業診断士 川口貴之
2006年7月6日