その部門、採算とれてますか?
今年も残すところ、あと少しとなりましたね。
年末になると、歳末値引きセールなど多く見かけます。
いわゆる年末商戦。
企業も年末はいろいろと出費が増えますね。
今日の内容で、その出費の意味が変わると思います。
少し復習です。
「縦切り」
「横切り」
「比較対象」
経営状態を素早く把握する3つの「経営判断の材料」です。
今日は、2つ目の横切りについて解説します。
「横切り」とは、採算性を把握することです。
縦切りで部門ごとの業績が見えるようになったら、どこを見たらよいでしょうか?
利益が出ているからこの部門はOK!
利益が出ていないからこの部門はダメ! だけでは勿体ないです。
縦切りで部門ごとの業績が見えるようになったら、「横切り」してみましょう。
「横切り」をすると、その部門の採算性が見えるようになります。
「なぜ利益が出ていないのか?」
↓
「どうしたら、利益が出るようになるのか」
が分かるようになります。
では、横切りってどうやってやるのかを説明します。
利益は、売上から経費を差し引いた残りです。
売上―経費=利益 ですね。
経費を「変動費」と「固定費」に分けて、次のようにします。
売上―変動費=粗利益
粗利益―固定費=利益
※変動費とは、仕入れなど売上の増加と共に増える経費。
※固定費とは、売上が0でも毎月かかる経費。
業績を縦切りして、横切り表示してみると・・・
A部門 B部門 C部門
売上高 ○○○ ○○○ ○○○
変動費 △△△ △△△ △△△
粗利益 ◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇
(粗利益率) ○○% ○○% ○○%
固定費 △△△ △△△ △△△
利益 □□□ □□□ □□□
売上利益率 ○○% ○○% ○○%
――カンタンに表示するとこのようになります!
このように表示すると、いろいろ見えてきます。
○売上に対する変動費の大きさ(粗利益率)
→売上と原価の関係
○売上に対する固定費の大きさ(固定費率)
→その部門に必ずかかる定期的な経費ボリューム
○粗利益に対する固定費の大きさ(安全比率)
→必達の売上高はいくら必要なのか?
○売上に対する利益の大きさ(利益率)
→結局、この部門は儲かっているのか?
などなど、書ききれません。
これらが見えてくると、部門ごとの採算性が見えてきますね。
売上が大きくても変動費が大きければ、採算は悪いです。
売上が小さくても変動費が小さく、粗利益率が大きければ、採算がよいです。
粗利益に対して固定費が大きければ、必要売上も大きいと分かります。
粗利益は小さいけれど、固定費が小さければ、必要売上も小さくてよいと分かります。
さらに部門同士を比べて、比較することもできます。
この部門は、人件費がかかりすぎているな。何故だろう?
この部門は、運送費が大きすぎるな。何故だろう?
縦にも横にも見えるので、業績を素早く把握する材料が増えてきます。
縦切りの部門ごとに、横切りした項目をおさえて見てみると、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
業績がちがって見えてきませんか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「売上が増えた。」 「売上が減った。」
「利益が増えた。」 「利益が減った。」
「利益が出ている。」 「利益が出ていない。」
だけでは業績を把握できていません。
「縦切り」と「横切り」ができれば、業績を素早く把握することができます。
さて、上記の計算を見て分かると思いますが、利益を増やすには、
「売上を増やす」
「粗利益率をあげる(変動費を下げる)」
「固定費を減らす」
の3つの方法になります。(単純なのです!!)
業績を素早く深く把握できれば、この3つの具体的な方法も見えてくると思います。
加えて、部門ごとの損益分岐点を掴んでおきましょう。
損益分岐点は、固定費÷粗利益率です。
一度、計算してみましょう。
売上 1,000
変動費 400
粗利益 600
(粗利益率) 60%(600÷1,000=0.6)
固定費 400
利益 200
この部門の損益分岐点は、400÷60%=666です。
666の売上だったら、利益がゼロになります。
試しに、売上が666の場合で計算してみてください。
さて、この部門で「100」のお買いものをするとします。
そのお買いものはモノでもいいですし、広告でもいいです。
それで、同じ利益額を維持しようとすると、売上をいくら増やさないといけないでしょうか?
100÷60%=166 です。
「100のお買いものをするから利益が100減る」
という発想ではなく、
「100のお買いものをするからには、
166以上の売上増をしないと、モトが取れない!」
という発想をしてください。
今日は、数字を使って説明したので、読むのが少し大変だったと思います。
ぜひ、全社の損益分岐点ではなく、縦切りした損益分岐点を計算してみてください。
必ず、深く認識できることと思います。
次回は、経営判断の材料の3つめの「比較対象」についておハナシします。
☆☆編集後記☆☆
前回のメルマガで、矢沢永吉さんのハナシをしました。
反響や感想が多くて、ビックリしました。
さすが永ちゃん!!と嬉しくなりました。
メルマガの感想とあわせて、永ちゃんのハナシもお待ちしています。
あと、少し早いですが、メリー・クリスマス!!
2011年12月22日