企業理念~企業理念の元を探せ~
先日ある社長に質問を受けました。
「オフィスをもっと広いところに移転して給与制度も年棒制に移行し、社員1人1人に主体性のある仕事をやってもらいたいと考えたんだ。
その為に、企業理念も三日間寝ずに考えたのだけどどう思う?」と。
まぁ、三日間寝ずにというのはオーバーとして、あまりの突然の質問に私も面食らってしまい、いったいなぜその様な心境の変化があったのか訊ねたところ
「社員たちをみていると、生き生きと仕事をしているのはほんの一部の者たちで、あとはなんかあまり楽しそうじゃないんだよね。
多分、ほとんどの社員は寝ている時間を除けば人生の半分近くは仕事に費やすことになる、その仕事が面白くないのでは、その人の人生は半分近くが面白くないことになってしまう。
せっかく縁あってうちの会社に入ってきたのに、その人たちがつまらない人生を送ることになると考えたらとてもいやだし、多分うちの会社もあるレベル以上に成長することはないような気がしてね」と気持ちを話して下さいました。
このような考え方を経営学で学ぶことはあっても、ご自身で肌でそれを感じ、更にそれを具現化するために早速実行に移そうとしているその姿勢にひたすら感動してしまいました。
しかし同時に経営者は本当に大変だなと感じ入ってしまいました。
何故ならば、経営者は会社というエンターテインメント施設を運営し、その施設にかかわる人たちの人生を楽しくする総合エンターティナー的な役割も求められるからだと気付いたからです。
よくよく考えてみると、人は満足(自己満足も含めて)を求めているものだと思います。
その満足を自分だけの満足で良しとするか、良い意味で他社(者)を巻き込み、より深い満足を求めるか。により、姿勢が全く異なってくると思います。
中小企業さんですと、企業理念はないよ。という社長さんもお見受けします。
しかし、実は、“企業理念の元”は必ずあるのです。
最初は、社長さんの会社を作った時点での“思い”がスタートであると思います。
その“思い”を如何により多くの他社(者)の満足、幸せを巻き込んだものに昇華できるか、企業理念に昇華できるか。により、その会社の成長力もより無限になってくるに違いありません。
また、気持ち的にも、より多くの企業・金融機関・お客さん、従業員さん、家族(広い意味での利害関係者=ステークホルダーですね。)に良い意味で支え、そして支えられて成長できたら、こんなに幸せなことはありません。
いくら商品力があったとしても、1人の力は限られていますので、限界は必ずありますからね。
私達は、社長さんのそのような思いを共有し、如何にしたら会社・社長・従業員さんの満足を得られるか?を常に思いを馳せながら、アドバイスをさせていただく事を理念としております。
中小企業診断士 川口貴之
2006年7月21日