事業承継ガイドライン-後継者対策-
昨今、中小企業の廃業率が高水準で推移しているのは非常に残念なことですが、その理由の上位に常に「後継者不在のため」があるのは何とも悲しい限りです。
この「後継者不在」という言葉を目にする度、ある企業にご子息が跡継ぎとして入られた際のことを思い出します。
その企業の創業社長に、「本当に嬉しいことですね。」と話しを切り出したところ、「息子の前では恥ずかしくて言えないが、後を継がしてくれと言われた時は涙を堪えるのに必死だった。」と本当に感じ入った口調でおっしゃっていました。
後継者がいない。と一言でいっても、そのいない理由は様々だと思います。
ご子息や会社を託せるだけの人材がいないということ、事業の将来性が全く見込めないなど、諦めざるを得ない理由もあるかと思いますが、中には準備を全くしてこなかったが故に時期やタイミングを逃してしまった。など、事前の対策によって何とかなったというケースもあるのではないかと思います。
中小企業庁では中小企業経営者の高齢化が進展することを憂慮し、中小企業の事業承継を円滑化することが一層重要な課題と考え、士業団体、中小企業関係団体等と協力して2005年10月に「事業承継協議会」を設立しました。
その事業承継協議会において、事業承継計画の立案の手順や承継の方法に即した具体的対策の実行方法等を盛り込んだ「事業承継ガイドライン~中小企業の円滑な事業承継のための手引き~」等の検討の成果が公表されました。
何事も予防と準備が肝心!
事業承継について一度真剣にお考えになってみませんか?
中小企業診断士 川口貴之
2006年7月27日