利益率 自社の利益構造について考えてみましょう。クイズです!
突然ですが、クイズです。
皆さんが現在事業を始めたばかりだとしましょう。
年商3億円、粗利率20%の会社の社長だったとしたら、翌年は、下記のどちらが嬉しいですか?
○売上高が20%増える
○粗利率が5%改善される
私だったら粗利率が5%改善する方が嬉しいです。
くだらないクイズですいません、計算すれば簡単ですよね。
まず、売上高が20%増加すると年商3億6000万円となります。
(3億円×120%=3億6000万円)
粗利率が20%だと粗利額は7200万円です。
(3億6000万円×20%=7200万円の粗利)
これに対し、年商3億円のままで粗利率が5%増えて25%になると、粗利額は7500万円となります。
(3億円×25%=7500万円の粗利)
20%の増収よりも5%の利益率向上の方が利益額が増えるのです!!
売上が増えればその分決算書の見栄えは良いですし、何より来年はもっと頑張ろう!とポジティブな感覚になれるでしょうから、少々の差だったら増収の方がいいよ、という方もいらっしゃるかもしれません。その答えだって正解だと思います。
しかし掛売りの場合、一般的にはその分運転資金も、より多く必要になり、金利コストが発生します。
(利率が上昇すれば更にコスト割合が大きくなります。上昇基調のこの時期は考えものですね。)
また売上が増えるということは取引量が増えるということですから、営業マンの活動経費や事務経費、配送コスト等も増えることになります。
ですから実際には、きっと見た目以上の差がついているのです。
創業された直後だと特に「何とか売上を増やしたい」と、どの経営者の方も必死だと思います。
しかし、創業からひたすら走り続けて、もしちょっと振返る時間を作ることができる時期にきたら、利益率を1%でも改善できるよう徹底的に考えてみたら如何でしょう?
実は頻繁に仕事をくれる、一番のお客さんだと思っていた人が、じつは一番儲からない、資金繰りの悩みの根源だったりするかも知れません。
ちなみに、上記の例でいくと粗利率を1%改善することは5%の増収と同じことです。是非自社の売上と粗利率の関係についてチェックしてみてください。
粗利率1%改善の場合の増益額 → 3億円×1%=300万円の増益
年商5%アップの場合の増益額 → 3億円×5%×20%=300万円の増益
※同じ結果ですね!
中小企業診断士 川口貴之
2006年9月1日