企業設備、償却期間短縮へ(耐用年数の変化)
今日(10/24)の日本経済新聞に掲載されていました。
「企業の法人税負担の軽減策として、生産設備の税制上の償却期間を短縮する検討に入る。償却期間中は毎年損金として計上できる金額を増やしてその年の税負担を軽くするとともに、新たな設備投資を促す。」
最近、新聞紙上で中小企業の設備投資が復活してきた。との記事を読み、いよいよ中小企業にも景気の波がやってきたか~、と実感していました。
私としては、各指標の発表はありますが、まさに「実感なき景気回復」だからです。
さて、現在の法人税法上の、減価償却資産の取り扱いについては、一定額以上の資産を購入した場合、一時に費用にはできません。
一度、有形固定資産に計上しなければならないのです。
ある程度の値段がするものは、長期間に渡って、使用できます。従って、その使用可能期間で、取得価額の95%までを、費用化(減価償却費)してください。という事です。
ちなみに、その期間(耐用年数といいます。)については、法人税法で、決められているのです!
今回の見直しは、
◆その耐用年数が、実際の使用可能期間よりも長いので、短くしましょう。
◆費用化できる部分を100%にしましょう。
というものです。
日経記事に、生産設備の国際比較が載っていましたが、日本は、米、英、韓に比べて、耐用年数が長いですね。
という事は、費用化できる部分が少ないので、税負担が圧し掛かります。
諸外国のライバル企業に比較して、税金の資金流出分、体力負けしてしまうのですね。
今回は、この部分の見直しのようです。
ちなみに、この減価償却という制度は、期間損益の整合性を保つために、必要とされています。
例えば、○千万円の機会を購入時に、全額費用としたら、購入時は赤字になってしまい、業績にデコボコが出来すぎてしまいますから。
しかし、税務上では、固定資産の費用計上について、上限を設けないと、いくらでも節税が出来てしまうため、規定があるのだ。と言えるでしょう。
現在の、費用計上限度については、景気政策でコロコロ変わります。
現在は、中小企業については、ひとつが30万円未満の資産を、購入時(使用開始時)に一括で経費に計上できます。例えば、295,000円のパソコンだったら、10台できます。
しかし、1事業年度で300万円分までしかこの制度を適用できません。ややこしいですね。
「また設備投資額の全額を損金に計上できる仕組みも導入する考え。経済活性化税制の柱と位置付けて安倍政権が掲げる成長路線を後押しする。」
ハイテク分野に限られるでしょうが、全額損金に計上できると大きいですね。
記事に記載あるように、成長の後押しになります。
数字で考えると分かりやすいと思います。
税金を経済活動の1項目と捉え、全額損金計上の場合と、耐用年数が8年の場合で比較してみましょう。(実行税率は40%だと考えます。)
1)全額損金の場合
300万円の買い物をしました。減価償却費は300万円(全額)です。
節税額は、120万円に(300万円×40%)なります。
という事は、実質負担は180万円(300万円-120万円)です。
2)耐用年数8年の場合
300万円の買い物をしました。減価償却費は75万円(300万円×0.25※)
節税額は、30万円(75万円×40%)になります。
という事は、実質負担は270万円(300万円-30万円)です。
※耐用年数8年の償却率。
(期首月に購入、定率法の場合)
1)と2)で、全く、違いますね。
同じ経営活動なのに、税の条件によって、両社の実質負担の差額は、90万円になってしまいます。
これは、比較の一端です。対象金額が大きければ大きい程、差は大きくなります。
(ちなみに、生命保険のブログでも記載しましたが、赤字の場合は、税の項目は関係してきません。
黒字の場合に、上記の効果を発揮します。赤字の場合は、税の項目は無視です。)
ちなみに、日経の「きょうのことば」の「企業の損金」については、過去のブログを参照下さい。
2006年10月24日