相続税対策!事務所通信11月号

相続対策を行っている方、考えている方はぜひお読みいただきたくお願いします。

税制改正により今年(2024年)から相続税と贈与税の取扱いが変わりました。

改正は増税の方向です。
しかし、うまく活用すると節税となる方法があります。
今日はこの改正内容と活用方法を記載します。

■贈与税の改正

贈与税は年間110万円まで非課税です。
(110万円が基礎控除で、110万円までは贈与税はかかりません)
この非課税枠を活用して毎年110万円の贈与を行っている方も多いです。
※この制度を「暦年贈与制度」といいます。

〇改正前
暦年贈与制度で110万円の非課税枠を活用しての贈与は、
「亡くなる前3年以内に贈与を受けた財産を相続財産に含める」
※110万円以上の贈与も同じ取り扱いです。

〇改正後
暦年贈与制度で110万円の非課税枠を活用しての贈与は、
「亡くなる前7年以内に贈与を受けた財産を相続財産に含める」

改正により、相続財産に含める生前贈与の範囲が広くなりました。
(数年間は移行措置がありますが今回は説明を割愛します)

■改正後の節税方法・・・の前に制度の確認

節税になる活用法は「相続時精算課税制度」の活用です。

「相続時精算課税制度」の活用の前に贈与税の制度を説明します。
贈与税の制度には、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2種類があります。

(1)暦年課税制度
非課税枠の110万円を超えた贈与は、その年ごとに贈与税が課税されます。

(2)相続時精算課税制度
累計2,500万円までの贈与は贈与税が非課税という制度です。
(1年間での贈与でも複数年での贈与でも贈与額合計が2,500万円まで非課税扱いになる制度です)
※相続時精算課税制度を選択すると暦年課税は選択できなるのでご注意ください。 

相続時精算課税制度は改正前からある制度で、いわゆる「生前相続」です。

この「生前相続」である相続時精算課税制度は、
贈与した人が亡くなった場合に贈与した財産を相続財産に足し戻して相続税を計算するという制度なのです。
したがって「生前相続」の制度といわれています。

■税制改正後の節税になる活用方法

2024年1月から相続税、贈与税の制度に新たな非課税枠が加わりました。
「年110万円までの贈与なら贈与税がかからず、贈与税と相続税の申告も不要」というものです。

アレ?と思われるかもしれません。
改正前は相続時精算課税制度を選択した場合は
贈与した人が亡くなった場合に贈与財産はすべて相続財産に加算される制度でした。

しかし、今回の改正で【基礎控除枠】が新設されました。
結果として、相続時精算課税制度を選択した場合は、

【年間110万円までの基礎控除枠以下の贈与は相続財産に加算しない】
となりました。

敢えて相続時精算課税制度を選択して年間110万円の基礎控除以下の贈与をする場合、
贈与した人が亡くなった場合にも相続財産に加算されないという事になるのです。

■結論

年間110万円の贈与で相続財産をお子さんお孫さんに移行している方は、
今年から相続時精算課税制度を選択しましょう!

ちなみに、年間110万円を超える贈与部分は、
従来の生前相続と同じく、贈与した財産を相続財産に足し戻し
相続税を計算するという改正前と同じ取り扱いになりますので、ご注意ください。

※この取り扱いには、条件等ありますので弊社(または専門家)に確認の上、行ってください。
 年の瀬も近いので選択間違いのない手続きを行いましょう。

(参考情報1.)
2013年度税制改正による相続税の基礎控除額引き下げを受け、相続税課税割合は4%台から一気に8%台に上昇しました。
ここ3年はさらなる増加傾向にあり、2022 年分は 9.6%と、10%に迫る勢いです。
相続税を納めた相続人の数も同様に増加傾向にあり、2018 年分、2019 年分は25 万
人台でしたが、2021年分は29万人台、2022年分は32万人台と一気に増加しています。被
相続人の数も増加傾向にあることから、相続に関わる人は今後も増えるものと思われます。

(参考情報2.)
相続時精算課税は、2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となります。
暦年贈与に比べて一度にたくさんの贈与ができる制度ですが、この制度を利用した申告は、実はそれほど多くありませんでした。
過去10 年間では2013年の5.2万人がピークで、2016年以降は4万人台で推移している状況です。

■上記の参考情報の通り、相続税は増税傾向です。
今日の内容を踏まえ、対策を行ってゆきたいですね。
この記事をお読みになり、対策が必要と思われた方は弊所までご相談ください。

■■事務所通信11月号です■■
(下記をクリックしてご覧ください)
https://www.hiruta-kaikei.com/monthlyreport/keieishien-202411.pdf

トピックとしては・・・
◆変わる 令和6年分の年末調整関係書類
◆最低賃金の引き上げ幅が過去最大に
◆データでみる中小企業の付加価値率
◆海外出張時における日当の支給状況

最後のページに11月の事務的な備忘録の記載がある
ので、漏れなく対応いただく参考にしてください。

2024年11月19日

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