税務調査の頻度って?
最近「税務調査の件数が多くなった」と税理士仲間で話題になっています。
実際、税務調査の件数は多くなっているようです。
だからなのか、最近税務調査についての質問を多く受けます。
「まだ、一度も税務調査来たことがないんですが・・・」
「前回からずいぶん経つから、そろそろ来るでしょうか?」
「そろそろ来る気がするのですが・・・(?)」
当たり前ですが、税務調査は来て欲しいものではありません。
■税務調査はどれくらいの頻度で来るのでしょうか?
まったく税務調査に入られたことがない会社。
3年ほどのペースで税務調査が来る会社。。。
実は税務調査の頻度は、会社によってまったく違うのです。
そうはいっても、ある程度は基準があるので、簡単に説明します。
○売上が100億円以上あるような大きな会社
→3~4年に1度のペースで税務調査
○売上や利益が大幅に伸びている会社、業績が大きく変化した会社
→4~5年に1度のペースで税務調査
○パチンコ業や廃棄物処理業など、不正が多いと税務署に管理されている業種
→4~5年に1度のペースで税務調査
○過去に重加算税を課されたことのある会社
→3~4年に1度のペースで税務調査
暗い気分になってしまったかもしれません・・・。
しかし、税務調査の頻度を下げる対応方法はあります。
■税務調査の頻度を下げる対応方法
なぜ、税務署は調査に来るのか?を考えれば方法が分かります。
たとえば、「業績が大きく変化した会社」には、なぜ調査が来るのでしょうか?
税務署は、その変化の内容を確認したいから税務調査に来るのです。
業績が大きく変化した場合は、何かが起きている。
↓
業務内容が変わったのかもしれない。
経理の仕組みも変わったのかもしれない。
↓
ひょっとして決算書の変化は不正の結果かもしれない。
(利益操作で決算書をいじった?)
業務内容が変わったなら、利益の計上漏れなどのミスがあるかもしれない。
利益の計上漏れがなくても、業績が変わった理由を把握しておきたい。
という理由から税務調査が来るのです。
この場合は、税務調査に行かなくてもこれらを確認できるならば、
税務調査が来る可能性はグッと減ります。
決算書の「法人事業概況説明書」に、その業績の変化の内容や理由を書いておくのです。
すると、税務署はその変化の理由や内容を理解できます。
その結果、税務調査の可能性はグッと減ります。
経理の基準を変更する場合も、その基準変更と理由を書いてあげると良いですね。
でも、もっと根本的に税務調査を省略できる制度があるのです。
「書面添付制度」ってご存知ですか?
■書面添付制度とは?
「書面添付制度」を実行しているのは全体の5%ほどで、ご存知ない方も多いようです。
正式には、「税理士法33条の2の書面添付制度」といいます。
その書面を決算申告書と一緒に税務署に申告します。(だから書面添付制度といいます。)
その書面には、
○税理士が決算申告する際に何を見て確認したのか。
○経理と税務の採用基準は何か。
○今期の業績の変動はどの部分でその原因は何か。
などの内容を記載します。
この書面を税務署に提出すると、いきなり税務調査がくるということはありません。
税務署が税務調査をしたい場合は、調査の前に税理士に質問を行ないます。
(これを「意見聴取」といいます。社長は同席しません。)
この意見聴取では、税務調査で調べるであろう項目について税理士に質問します。
税理士がキチンと回答し、税務署が納得すれば「調査は省略」となります!
書面添付制度には、税務調査が省略となる他にもメリットがあります。
「融資の利率が下がる」「融資の審査期間が短くなる」など。
決算書の信用力が増すのですね。
書面添付制度の説明をすると、「知らなかった!」という社長さんがほとんどです。
社長さんはお忙しいです。税務調査に時間を取られたくありません。
この制度を有効活用してみてはいかがでしょうか?
昨年は、税務調査の増加傾向の影響か、この意見聴取も多かったですね。
税務調査になったら4日以上かかる規模の顧問先さんも、意見聴取で調査省略!となりました。
調査省略となり、社長さん共々「書面添付していてよかった!」と実感しました。
書面添付制度の内容や効果については、
「企業実務」に寄稿した記事を参考としていただけたらと思います。
2012年1月27日